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Accelerating ScienceLearning at the Bench / 細胞培養・イメージング / バイオエンジニアリングプロセスのハーベスト工程における効率的なワークフローについて考えてみた

バイオエンジニアリングプロセスのハーベスト工程における効率的なワークフローについて考えてみた

Written by LatB Staff | Published: 06.16.2023

組み換えタンパク質、モノクローナル抗体(mAb)、細胞治療、遺伝子治療などによって造られたバイオエンジニアリングワクチン製造に対応する革新的なシングルユースハーベストソリューションのニーズは依然として高まっており、お客さまのハーベスト工程に関するお問い合わせも年々増えてきています。これは高い細胞密度や、より効率的な処理ステップの必要性に伴う最適なプロセスへのニーズが高まっており、ハーベスト操作におけるワークフローでの対処が急がれていることを意味しています。今回はバイオエンジニアリングプロセスの中のハーベスト工程における効率化および最適化について、オペレーションコストとスペース効率、処理時間の視点から考えていきます。

▼こんな方におすすめです!

  • バイオエンジニアリングプロセス全体のワークフローを見直したい
  • ハーベスト工程における時間、運用コスト、スペースを削減したい
  • ハーベスト工程を少ないフィルターで効率的に処理したい

▼もくじ

  • ハーベスト工程の課題とDynaSpinシングルユース連続遠心分離機
  • DynaSpinとデプスフィルターの比較
  • まとめ
    • 【無料ダウンロード】シングルユーステクノロジー製品関連資料

ハーベスト工程の課題とDynaSpinシングルユース連続遠心分離機

バイオ医薬品製造における細胞培養工程を含む上流工程では、高効率に抗体を生産する細胞種の開発やシングルユースバイオリアクターの性能向上に伴い、プロセスの効率化が進んでいます。それに伴い、ハーベスト工程の効率化が課題となっています。特に数千リットル規模の細胞培養液をハーベストする場合、従来のデプスフィルターを使用したハーベスト方法では、処理に要する時間、フィルターの取り付けから交換、その後の滅菌処理といった作業に要する労力、フィルターの費用といった面で大きな負荷がかかります。バイオ医薬品の市場への供給を速めるためにも、ハーベスト工程の効率化と負荷の軽減が求められています。
Thermo Scientific™ DynaSpin™シングルユース連続遠心分離機(以下、DynaSpin)は、特に数千リットルといった大容量の培養液のハーベスト工程の効率化を促進することを目的として開発された当社の新製品です。接液部分は全てシングルユースとなっているので、使用後の滅菌作業が必要なく、またシングルユース部分の取り付けは、どなたでも簡単に行うことができるよう工夫されています。上清が通るラインには吸光度計が、細胞濃縮液が通るラインは反射濃度計が付いており、遠心分離後の液体の濁度をモニタリングすることができるほか、圧力センサーで各ラインの内圧を測定し、シングルユース部分の破損による液漏れを防ぐ工夫がされています。回転速度やポンプ流速、ハーベスト開始条件などはタッチスクリーンにて容易に入力・保存することができ、ハーベスト中は実測値をモニタリングしながら必要に応じて一時停止・再開が可能となっているため、1バッチの中で条件検討を行うことができます。その他、21 CFR Part 11に対応済み機器で、GMPの設備として重要となる監査証跡をはじめとするデータはUSBもしくはOPC-UAを経由して抽出することができるようになっているなど、ユーザーフレンドリーな設計となっています。

DynaSpinシングルユース連続遠心分離機

図1. DynaSpinシングルユース連続遠心分離機

DynaSpinとデプスフィルターの比較

この章では、デプスフィルターのみでハーベストを行った場合と、DynaSpinにて遠心分離後にデプスフィルターを使用する場合に要する消耗品やバッファー使用量、設置スペースやハーベスト完了までの所要時間、トータルで必要となる費用を比較していきます。なお、デプスフィルターはmAbのハーベスト時に活用されているものを使用した場合で算出しており、培養液の性質や使用するフィルターの種類などによって前後します。デプスフィルターのみでハーベストを行った場合は2段階のフィルター浄化工程、DynaSpin使用時は遠心分離後に2段目のデプスフィルターを用いて浄化を行います。
図2は5,000 Lの細胞培養液をDynaSpin、デプスフィルターでハーベストした際に必要となる機器、消耗品、バッファーおよび設備スペースの比較を示しています。デプスフィルターを使用した場合、約130のフィルターと、WFIを含むバッファー類1万リットル以上が必要となります。それに伴い、フィルターのハウジング、バッファー調製・貯留タンク、交換用フィルター保管スペースが必要となります。一方で、DynaSpinを使用した場合、DynaSpinは2台必要となりますが、フィルター使用量はデプスフィルターのみの場合の約1/3以下まで削減できます。さらにDynaSpinによる連続遠心分離工程にはバッファーを必要としないため、バッファー使用量も1/3程度まで減らすことができ、結果、デプスフィルター使用時に必要になるフィルターのハウジング、バッファー調製・貯留タンク、交換用フィルター保管スペースも削減でき、省スペース化まで実現できます。
このようにDynaSpinを導入することにより、フィルターやバッファーのコスト削減やスペース効率の向上が見込まれますが、それ以上にフィルター交換や使用後の滅菌作業、大量に必要となるバッファーの準備といったオペレーションコストまで削減が期待されます。

フィルター・バッファー使用量を削減 省コスト・省スペース化を実現

図2. フィルター・バッファー使用量を削減 省コスト・省スペース化を実現

2,000L の培養液をハーベストする際に要する時間の比較を図3に示します。こちらのグラフでは、ローターやフィルターの取り付けやドキュメンテーション、フィルターのWFI/バッファーフラッシング、DynaSpinでの遠心分離、フィルターやローターの取り外し、クリーンアップといったハーベストの準備から片付けまでに要する時間を比較しています。グラフに示されている通り、DynaSpinとデプスフィルターを併用した場合、デプスフィルターのみで処理した場合と比べて半分ほどに処理時間を削減することができます。つまり、処理時間の短縮により、設備のより効率的な稼働を実現します。

2,000 L培養液のハーベスト所要時間の比較

図3. 2,000 L培養液のハーベスト所要時間の比較

図4に、DynaSpinとデプスフィルターを併用した場合と、デプスフィルターのみを使用した場合のハーベスト工程に要する費用の比較を示します。青色のラインがデプスフィルターのみを使用した場合、赤色がDynaSpinにて遠心分離後にデプスフィルターを使用した場合です。ハーベスト費用には、デプスフィルター、バッファー、シングルユースローター、人件費、各種機器の費用が含まれます。1,000 Lスケールの場合、デプスフィルターのみとDynaSpin使用時の費用は大きく異なりませんが、2,000 L, 3,000 L, 5,000 Lの比較では、DynaSpinを使用したほうが平均でおよそ25%程度の費用が削減される見積もりとなっています。

ハーベスト工程に要するコスト比較

図4. ハーベスト工程に要するコスト比較

まとめ

アップストリーム工程の進歩に伴って生じたハーベスト工程の課題を、DynaSpinによって解消することが可能です。DynaSpinを採用することで、重労働となる使用済みフィルターの交換やバッファー調製といったオペレーションコストを削減し、よりコア業務に注力することができます。2,000 L以上のスケールのハーベスト工程では、所要時間、費用どちらの面でもDynaSpinを導入するメリットが生まれます。
今回紹介したDynaSpinは再生医療クリエイティブ・エクスペリエンス・ラボ(Thermo Fisher Scientific Creative Experience Lab for regenerative medicine: T-CEL)にて見学が可能ですので見学やデモを希望される際はこちらへお問い合わせください。

また、デプスフィルターの比較をはじめとするDynaSpin関連資料は、下記リンクよりご確認いただけます。

【無料ダウンロード】シングルユーステクノロジー製品関連資料

ダウンロードする

 

研究用または製造用にのみ使用できます。診断目的の使用、ヒトおよび動物への直接的な使用はできません。

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