ボリューム電子顕微鏡法におけるアレイトモグラフィーの利用

ボリューム電子顕微鏡法でアレイトモグラフィーが使用される理由

アレイトモグラフィーでは、組織内の細胞の局在とその相互作用を迅速に特定することができます。最大の撮像領域から得られるアレイトモグラフィーは、組織学的な探査に最適です。アレイトモグラフィーでは、動物や臓器の超微細構造解析を必要とせず、サンプルを保存しつつ再イメージングするためのナビゲーションが容易です。

 

Thermo ScientificのSEMは、自動アレイトモグラフィーを追加することで、ボリューム電子顕微鏡としての利用が可能になります。

マウス脳のアレイトモグラフィー解析

アレイトモグラフィーSEMの仕組み

Thermo Scientific Maps相関電子顕微鏡法ソフトウェアは、アレイトモグラフィーでの3Dボリュームの取得を支援します。3D再構成にSEMベースのメソッドを採用しても、不必要に大きいボリュームを選択してしまうと、全データの取得完了までに非現実的な長時間を要することがあります。こうしたケースで特に重要となるのが、関心領域を正確に特定する能力です。Mapsソフトウェアには、広い領域のオーバービューを高分解能で取得して蛍光イメージと相関させる機能があり、取得した2Dマップを基に3D化のターゲットを特定することで(Thermo Scientific Auto Slice & Viewソフトウェアなどを使用)、より迅速な結果取得を可能にします。
 

また、モジュール式アーキテクチャが採用されているため、より複雑なSEMベースの3D取得スキームを統合することも可能です。Mapsソフトウェアでは、ユーザーがブロックフェイス上に複数のイメージング領域を指定することができ、スライスやイメージングのパラメーター設定においても支援を受けられます。オプションで用意されているSEM/DualBeamシステム用のアレイトモグラフィープラグインを使用することで、3D再構築における連続切片のイメージングについても支援を受けられます。


Amiraソフトウェアによるショウジョウバエの腸のレンダリング

Helios G4プラズマ-FIB-SEMを用いて分解能3.9 nmにて80セクションを取得した非常に大規模な3Dデータセットを、Thermo Scientific Amiraソフトウェアによりボリュームレンダリング。


アレイトモグラフィーを使用している研究者

「Mapsでアレイトモグラフィーを利用すると、イメージング領域のセクション間での位置変動が10 µm未満となるため、オーバーヘッドが大幅に低減されます。他のソリューションでは、この変動が数百ミクロンになる可能性があります。オーバーヘッドの少ないイメージングにより、データ取得までに要する時間が大幅に短縮されます。これは特に小さなターゲット構造をイメージングする場合に顕著です。」

 

Narayanan 'Bobby' Kasthuri(神経科学者、シカゴ大学)

「電子顕微鏡での分析は、複雑なものとなることがよくあります。Mapsを使用したアレイトモグラフィープロトコルでは、電子顕微鏡データ解析をより簡単に行えます。これにより、大きなサンプル表面からの中間的ボリュームのEMデータを、簡単に処理したり取得したりできるようになります。アプローチの全体的な使いやすさを考えると、科学的な課題だけでなく、診断ツールとしても使用できると考えています。」

 

Irina Kolotuev(EM施設コーディネーター、ローザンヌ大学)


アレイトモグラフィーの関連リソース

アレイトモグラフィー用Mapsソフトウェア

Thermo Scientific Mapsソフトウェアは、イメージングおよび相関ワークフロー用のソフトウェアパッケージであり、Thermo ScientificのSEM、FIB SEM、TEMプラットフォームの全製品に対応しています。

プロトコル:ターゲットを絞った3D EMおよび相関顕微鏡法でのSEMアレイトモグラフィーの利用

モデル生物と非対称サンプルでのボリュームアレイトモグラフィー用に最適化された走査電子顕微鏡のワークフロー。 


For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.