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水化学の重要性

原子力発電所(NPP)は、米国では総電力の約 20%、EU では約 30%を担っています。 NPP では、二次系と冷却系の冷却水が、放射同位体の核分裂によって生み出される熱を制御して蒸気を発生させます。この蒸気が発電に使用されます。 NPP の水化学は、原子力の安全性の維持、主要コンポーネントの信頼性、発電所稼働の総合的な経済的継続性にとって重要です。 各原子力発電所には水化学マトリックスがあります。このマトリックスは多くの場合、その発電所独自のものであり、通常は発電所の水化学の歴史と冶金学に基づいています。 

一般的なマトリックスに該当するもの:

  • 純水
  • アミン添加した純水
  • ホウ酸化水
  • 補機冷却水(高濃度亜硝酸塩を含む)
  • 環境サンプル(廃水、土壌、空気など)

Reagent-Free イオンクロマトグラフィーは、使いやすく、検出限界が向上したため、ほとんどの NPP で採用されています。この分野でモニタリングが必要な典型的マトリックスおよび検体に最適です。 

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純水

NPP で使用される水の化学特性は一次系と二次系の両方で腐食を防止するため厳重に管理しなければなりません。腐食によって発電所のコンポーネントの完全性が損なわれると、欠陥のある危険な動作につながってしまいます。 NPP 用水に含まれるイオン汚染物質の同定は腐食状態の特定と予防にとって不可欠です。イオンクロマトグラフィーは、μg/L 未満から 低μg/L レベルの濃度の個別のイオン種を同定するためになくてはならない技術です。

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アミン添加した純水

腐食防止剤と脱酸素剤は、pH を制御し、NPP 冷却系の液相および気相の両方において還元環境を作るために添加されます。 モルホリンは EU の NPP で、エタノールアミン(ETA)は米国の NPP でもっとも広く使用される有機アミンであり、水と気相の pH を 9.5 から 9.8 に保つことにより腐食を最小限に抑えます。 サプレッサーと電気伝導度検出器を組み合わせたイオン交換クロマトグラフィーは、μg/L から mg/L 濃度の一般的な陽イオンおよびアミンの測定で確立したメソッドです。そのため、NPP 業界で選ばれているメソッドとなっています。 

ホウ酸化水

ホウ素は優れた中性子吸収体であるため、ホウ酸は加圧水型原子炉(PWR)発電所で核反応の制御に使用されています。 PWR 発電所では、ホウ酸化水に含まれる陰イオン汚染物質の測定が腐食モニタリングの重要部分です。

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補機冷却水

NPP では、二次系と冷却系の冷却水が、放射同位体の核分裂によって生み出される熱を制御して蒸気を発生させます。この蒸気が発電に使用されます。 NPP のボイラー、二次系、冷却系の応力腐食割れや流量加速腐食はメンテナンス時間とコストの増加や発電量の損失の原因になります。 そのため、NPP 内の腐食を最小限に抑え、これに関連する事態を回避または低減することが重要です。 イオンクロマトグラフィーは、フッ化物、塩化物、硫酸塩など腐食性のあるイオン不純物の測定に最適なメソッドです。

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環境サンプル

モルホリン、エタノールアミン、ヒドラジンの分解によって生じるアンモニアと有機酸は原子力発電所(NPP)の二次系および復水器冷却水系に蓄積するため、定期的なフラッシングとブローアウトが必要です。 この廃水は国の廃水排出量限度によって規制されており、アミンの排出も各 NPP に指定されたレベルで制限されています。このレベルは低 μg/L から低 mg/L の濃度の範囲です。 そのため、コンプライアンスモニタリングで μg/L 濃度を測定するには、イオンクロマトグラフィーのような高感度メソッドが必要です。

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