蛍光が環境に影響されない蛍光色素（Invitrogen Alexa Fluor色素など）は、インターナリゼーションの際にクエンチャーを使用する必要があります。一方、pHrodo iFLおよびDeep Red色素は中性pHでは蛍光せず、インターナリゼーションされると酸性環境では明るく蛍光を発するため、クエンチャーは不要です。

pHrodo iFLおよびDeep Red色素は、中性pHではシグナルをほとんど示さず、色素がインターナリゼーションされpHが低下すると、それぞれDeep Red、赤、または緑のリードアウトシグナルが増加します。蛍光シグナルの増加は、エンドサイトーシス経路の進行のモニタリングに使用できます。pHrodo Deep Redは、pKaが低いという点と、エンドサイトーシス経路の後半まで蛍光しないという点で、pHrodo iFL GreenおよびRedとは異なります。

pKaが低いpHrodo Deep Redは後期エンドソームおよびリソソーム用に最適化されています。ハーセプチン（乳がんおよび胃がんの治療に使用されるモノクローナル抗体）をpHrodo Deep Redで標識しました。SKBR3細胞をpHrodo Deep Red標識ハーセプチン、および CellLight Early Endosome-RFP（左）、CellLight Late Endosome-RFP（中央）、 CellLight Lysosomes-RFP（右）で処理しました。一晩インキュベーションした後、サンプルをNucBlue Livenuclear dyeにより37℃で30分間染色しました。EVOS M7000細胞イメージングシステムを使用して蛍光画像を取得し、オーバーレイしました。オーバーラップしている蛍光シグナル（白色として示される）により、pHrodo Deep Red（マゼンタ）でラベリングされた内在化ハーセプチン抗体は後期エンドソームやリソソームでは蛍光するが、初期エンドソームでは蛍光しないことが示されています。これらのデータは、pHrodo Deep Redを非蛍光状態からDeep Red蛍光に活性化させるためには、後期エンドソームとリソソームで見られる、pH 5.5～6.0のより酸性化されたpHが必要であることを示唆しています。

	pHrodo Green iFL	pHrodo Red iFL	pHrodo Deep Red
範囲	初期エンドソームからリソソーム		後期エンドソームおよびリソソーム
一般的なフィルターセット	FITC／GFP	TRITC／RFP	Cy5
励起／蛍光（nm）	509／533	560／585	640／655
シグナル対ノイズ比
光安定性
輝度
pKa*	6.5	6.5	5
マルチプレックス解析	可
生細胞	可
固定細胞	不可
プラットフォーム	イメージング、ハイコンテント解析、フローサイトメトリー
Zenon Fabフラグメント	Z25609（マウス） Z25611（ヒト） Z25613（ヒト5x）	Z25610（マウス） Z25612（ヒト） Z25614（ヒト5x）	—
SiteClick部位特異的	—	C20034	S10914
アミン反応性抗体ラベリングキット	P36015（20 μg） P36022（100 μg） P36023（1 mg）	P36014（20 μg）  P36020（100 μg） P36021（1 mg）	P35355（100 μg）   P35356（1 mg）
アミン反応性試薬	P36013	P36011	P35359

*周囲のpHが試薬のpKaに達する前にシグナルを発します。

pHrodo iFL GreenおよびpHrodo iFL Red反応性色素はオリジナルのpHrodo色素の改良型です。これらは溶解性を向上するよう最適化されているため、コンジュゲーション中に溶液から沈降する可能性のある抗体のラベリングに有用です。pHrodo iFL Green、pHrodo iFL Red、およびpHrodo Deep Redはさまざまな抗体ラベリングテクノロジーと組み合わせており、インターナリゼーションアッセイのニーズに対応します。

pHrodo iFL製品およびpHrodo Deep Redは、抗体上の利用可能なリジンに対する従来の抗体ラベリングに使用できます。これらのアミン反応性pHrodo STPまたはTFPエステルには、緑色、赤色、およびDeep Redのバージョンがあり、スタンドアロンパッケージまたは、タンパク質や抗体のラベリングと精製に必要なすべてのものが含まれたラベリングキットとして提供されています。