蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)

マルチプレックス蛍光in situ ハイブリダイゼーション(FISH)により、単一検体において複数のターゲットのアッセイを行い、共局在化したシグナルを可視化することが可能となります。各ハイブリダイゼーションプローブに対してスペクトル的に異なる蛍光標識を使用したこのアプローチには、多色画像表示により、複数の遺伝要素または多様な遺伝子パターンの分離が可能となります。

Molecular Probes®では FISH Tag™ 検出キットをルーチンな解析用に、さらにTSAキットを極めてレアまたは少量のターゲット用に提供しています。


FISH Tag™検出キット

FISH Tag™検出キットには、マルチプレックスアッセイに最適なFISHプローブを作成するために必要なラベリング試薬およびバッファーが含まれています。シンプルなプロトコルでは、ニックトランスレーション(DNAプローブ用)またはin vitro 転写(RNAプローブ用)を使用して、アミン修飾したヌクレオチドを酵素的に取り込み、アミン反応性のAlexa Fluor®色素によりラベル化します。

色素ラベルしたヌクレオチドと比較して、アミン修飾された ヌクレオチドは一貫して高レベルで取り込まれ、信頼性の高いサクシニミジルエステルとのカップリングケミストリーにより共有結合的にラベル化されます。その結果、FISHアプリケーションにおいては、より高度なラベル化およびシグナル対ノイズ比の改善が見られます。

FISH Tag™ キットは、FISHアプリケーションに対する完全なワークフローソリューションを提供し、前例のない優れたシグナル強度および光安定性を実現します。直接イメージングプロトコルおよびスペクトル的に異なる色素の使用により、複数のターゲットを同時に観察することが可能です。

 FISH Tag™ detection kits
FISH Tag™ RNA およびTSA キットを、ホールマウントDrosophila 胚中で同時に使用した、マルチプレックスFISH 検出。
Krupple(マゼンダ)およびrhomboid(橙色)の発現が Alexa Fluor® 647 色素とFISH Tag™ RNA Kits およびAlexa Fluor® 555色素またはマルチカラーキットを使用して検出された。フルオレセイン標識したRNAプローブ(ChromaTide® フルオレセイン-12-UTP)によりdpp発現をラベルし、 Alexa Fluor® 488 チラミドとTSA™ Kit #2および 抗フルオレセイン/Oregon Green®、ウサギIgG 分画、horseradish peroxidaseコンジュゲートにより検出した。

TSA™ 検出キット

レアまたは極めて小量のターゲット用には、チラミドベースのシグナル増幅(TSA™技術)を使用してFISHプローブの蛍光シグナルを増幅することが可能です。TSA™キットは、horseradish peroxidase(HRP)を使用してプローブハイブリダイゼーション部位において高密度の蛍光ラベリングを達成します。この技術は、少量のDNAおよびRNAターゲットに理想的であり、マルチプレックス法に利用可能です。

最も一般的なTSA™ 技術のアプローチ法では、ハプテンプローブを検体に結合させ、HRP標識した抗体またはストレプトアビジンコンジュゲートによるプローブの二次検出を行います。

可溶性の色素でラベル化したチラミドをHRPで活性化し、プローブハイブリダイゼーション部位において共有結合的に導入することにより、優れた解像度および高いシグナル対ノイズ比が得られます。

Molecular Probes®ではAlexa Fluor®色素のチラミド結合物に加えて、Oregon Green® 色素およびビオチンとのコンジュゲートをご提供しています。

 Detection of the Golgi apparatus using Tyramide Signal Amplificationチラミドシグナル増幅(TSA™技術)を使用したゴルジ体の検出。
ホルムアルデヒド固定し、Triton® X-100で透過処理したBPAE 細胞をヤギ血清でブロッキングし、核をDAPI(青色)で染色し、F-アクチンをAlexa Fluor® 488ファロイジン(緑色)でそれぞれ染色した。抗–golgin-97 IgG1のラベル化には、細胞間接着を示すために HRP–ヤギ抗マウスIgGおよびAlexa Fluor® 594 チラミドを含むTSA™ Kit #5 を使用した(赤色)。

存在量の少ないターゲット用のTSA™ 検出キット

ラベル化したチラミド
Horseradish peroxidaseコンジュゲート

抗マウスIgG(ホスト: ヤギ)

抗ウサギIgG(ホスト: ヤギ)
ストレプトアビジン
Alexa Fluor® 350T20917T20927T20937
Alexa Fluor® 488T20912T20922T20932
Oregon Green® 488T20939
Alexa Fluor® 546T20913T20923T20933
Alexa Fluor® 555T30953T30954T30955
Alexa Fluor® 568T20914T20924T20934
Alexa Fluor® 594T20915T20925T20935
Alexa Fluor® 647T20916T20926T20936
ビオチン-XXT20911T20921T20931

存在量の少ないターゲット用のTSA™ 検出キット

ラベル化したチラミド
Horseradish peroxidaseコンジュゲート

抗マウスIgG(ホスト: ヤギ)

抗ウサギIgG(ホスト: ヤギ)
ストレプトアビジン
Alexa Fluor® 350T20917T20927T20937
Alexa Fluor® 488T20912T20922T20932
Oregon Green® 488T20939
Alexa Fluor® 546T20913T20923T20933
Alexa Fluor® 555T30953T30954T30955
Alexa Fluor® 568T20914T20924T20934
Alexa Fluor® 594T20915T20925T20935
Alexa Fluor® 647T20916T20926T20936
ビオチン-XXT20911T20921T20931

サンプルプロトコル

Fluorescence in situ hybridization (FISH)イメージの拡大
 Fluorescence in situ hybridization (FISH)イメージの拡大
4色蛍光in situDrosophila胚上でのハイブリダイゼーション後期胚盤葉ステージ(核サイクル14)の胚を4種類の異なるRNAプローブで標識した。
青:DNPでラベルしたsogに続き、 ウサギ抗–ジニトロフェニルKLH IgG 抗体Alexa Fluor® 647ニワトリ 抗ウサギIgG 抗体で検出。緑:ビオチンラベルしたindに続き、ストレプトアビジンHRPおよびAlexa Fluor® 350 チラミド( TSA キット#27)を使用した。赤: ジゴキシゲニンでラベルしたmshに続きヒツジ抗ジゴキシゲニン抗体、 Alexa Fluor® 488ロバ抗ヒツジIgG 抗体で検出 。黄 フルオレセインでラベルしたsnaに続きマウス抗フルオレセイン抗体、 Alexa Fluor® 555ヤギ抗マウスIgG 抗体で検出。画像は、カリフォルニア大学のDave Kosman氏およびEthan Bier氏のご厚意により提供されたものです。
 ホールマウントDrosophila胚における、5種類のRNAプローブを使用した、フルオレセインin situ ハイブリダイゼーション(FISH)による、5種類の遺伝子発現の同時検出。
赤: アミノアリルUTP でラベルしたsogおよび Alexa Fluor® 647 サクシニミジルエステル緑:DNPでラベルしたindに続き Zenon® Alexa Fluor® 555ウサギIgGラベリングキットであらかじめラベル化した ウサギ抗ジニトロフェニルKLH IgG 抗体を使用 。青:ビオチンでラベル化したenをHRPストレプトアビジンおよびAlexa Fluor® 405 チラミド( TSA™ キット#39、T30952)で検出。黄:ジゴキシゲニンでwgをラベルし、ヒツジ抗ジゴキシゲニンIgG 抗体および Alexa Fluor® 594ロバ抗ヒツジIgG 抗体で検出。マゼンダ:フルオレセインでmshをラベルし マウス抗フルオレセイン/Oregon Green® IgG2a 抗体および Alexa Fluor® 488ヤギ抗マウスIgG 抗体で検出。画像は、カリフォルニア大学のDave Kosman氏および Ethan Bier氏のご厚意により提供されたものです。
   
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サテライトプローブのヒト染色体1、15および17への in situ ハイブリダイゼーションの、チラミド増幅による検出。
染色体1、15 および17 へのサテライトプローブをニックトランスレーションにより、ビオチン-11-dUTP、 ChromaTide® Texas Red®-12-dUTPおよび ChromaTide® Oregon Green® 488-5-dUTPでそれぞれラベルした。3つのプローブすべての同時ハイブリダイゼーションに続き、ビオチン化した1番染色体のプローブをHRP–ストレプトアビジンコンジュゲートおよび Alexa Fluor® 546 チラミド(TSAキット#23)で検出。最初のTSA 検出ステップ由来のHRP活性は、1%の過酸化水素による30分間の処理により失活させた。次いで、Oregon Green® 488色素でラベルした17番染色体のプローブを 抗フルオレセイン/Oregon Green® 抗体に続きHRP-コンジュゲートしたヤギ抗マウス IgG 抗体およびAlexa Fluor® 594 チラミド( TSA キット#5)で検出した。この2回目のTSA検出由来のHRP活性は、1%の過酸化水素による30分間の処理により失活させた。次いで、Texas Red® 色素でラベル化した15番染色体のプローブを ウサギ抗Texas Red® 抗体に続きHRP-コンジュゲートしたヤギ抗ウサギIgG 抗体およびAlexa Fluor® 488 チラミド( TSA キット#12で検出した。 Hoechst 33258による対比染色後、画像の取得をDAPI、FITC、TRITC およびTexas Red® 色素に適切なフィルターを使用して行った。
 チラミドシグナル増幅によって検出された蛍光in situ ハイブリダイゼーション染色体スプレッドを、培養した線維芽細胞株MRC-5 から調製し、17番染色体に特異的な、ビオチン化したサテライトプローブでハイブリダイズした。
プローブの作成は ChromaTide® ビオチン-11-dUTPの存在下において、ニックトランスレーションを使用して行った。TSAによる検出のために、ハイブリダイズした染色体スプレッドをHRP–ストレプトアビジンおよびAlexa Fluor® 488 チラミドを含む TSAキット#22 (上パネル)またはHRP–ストレプトアビジンおよびAlexa Fluor® 546 チラミドを含む TSAキット#23 (下パネル)を使用してラベル化した。 DAPIによる対比染色後、DAPI、FITCまたはTRITCに適切なフィルターを使用して画像の取得を行った。