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Gibco StemFlex 培地は、フィーダーフリー多能性幹細胞(PSC)の安定した増殖をサポートし、シングルセル継代、ゲノム編集およびリプログラミングなどの新しいアプリケーションをサポートするように最適化されています。
図 1.StemFlex 培地は、ゲノム編集後に最大 2 倍のスピードで回復。ざまざまな培地組成で増殖させた PSC は、Gibco TrypLE Select 試薬を使用してシングルセル化し、Cas9 タンパク質/HPRT ガイド RNA 複合体をエレクトロポレーションにより導入しました。Rho 結合タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤の非存在下で、1 ウェルあたりの生細胞数が 100,000 個となるように播種したところ、StemFlex 培地はストレス環境下からの最適な細胞の回復をサポートすることが示されました。
図 2.StemFlex 培地は、フローソーティング後の PSC 回復をサポートし、ROCK阻害剤の非存在下におけるシングルセル継代後のクローン性増殖が 5 倍に増加することを確認。rhLaminin-521 基質上の StemFlex 培地 で 3 継代以上増殖させた PSC を TrypLE Select reagent を使用してシングルセル化しました。この細胞をフローサイトメトリーによるソーティングにかけ、生存している多能性生幹細胞(Tra1-60+/ヨウ化プロピジウム(PI)-陰性)を回収し、1 ウェルあたり 1、3、5 細胞となるよう 96 ウェルプレートに播種しました。播種後、細胞に新しい培地を 3 日おきにフィードしたところ、Day 14 までに 5%を超えるコンフルエンスに到達していることが、IncuCyte ZOOM システムを使用したウェル全体のイメージングで確認されました。このデータは、StemFlex 培地がストレス環境下からの細胞の回復に優れた性能を発揮することを示しています。
図 3:StemFlex 培地は体細胞リプログラミング後のクローン選抜を簡便化するため、ワークフローを改善し安定したコロニー形成を実現します。ヒト真皮線維芽細胞を、Invitrogen CytoTune-iPS 2.0 Sendai Reprogramming Kit を使用してリプログラミングしました。Day 8(標準ワークフローに従い幹細胞培地を導入してからの日数)の開始時から、mTeSR1 培地を毎日フィードするか、StemFlex 培地システムを使用して 1 日おきにフィードしました。(A)StemFlex 培地システムを使用した培養では、安定したコロニー形成が観察されました。(B)StemFlex 培地を用いた 1 日おきのフィードでは、mTeSR1 培地を毎日フィードするスケジュールよりも、全 3 例のドナーにおいてリプログラミング効率の改善が確認されました。
Gibco ブランドの最新のフィーダーフリー培地である StemFlex 培地は、今日の幹細胞研究で使用される革新的なアプリケーションや技術で優れた性能を発揮するように設計された唯一の培地です。StemFlex 培地は、従来は多能性幹細胞培養にストレスをかけていた、今日のより困難なアプリケーション、例えばリプログラミング、シングルセル継代、およびゲノム編集などで性能を最大化するよう特別に組成されています。中核的な性能の強化に加え、フレキシブルなフィードスケジュール(週末の培地交換なしなど)や、アプリケーションに最適なマトリックスと継代試薬を選択できる性能のような最新の利便性を提供します。StemFlex 培地は、便利な 2 コンポーネントキット(450 mL 基礎培地および 50 mL サプリメント)で提供され、Geltrex Matrix とともに使用すると、ヒト PSC の優れたフィーダーフリー培養を実現する費用対効果の高い安定したシステムを提供します。StemFlex 培地は、核型異常を引き起こすことなくフィーダーフリーの長期 PSC 培養を可能にし、三つすべての胚葉に分化する能力をサポートします(図 1 とおよび 2)。
図 4.StemFlex 培地は正常な PSC 特性を長期的に維持。培養は正常な形態(左)を示しました;週末に培地を交換しないフレキシブルなスケジュールで 20 継代後、正常な核型が観察されました(右)。
図 5.3 胚葉分化潜在性を確認。週末に培地を交換しないフレキシブルなスケジュールで 22 継代後、StemFlex 培地で増殖した iPSC は、(A)PSC Cardiomyocyte Differentiation Kit を使用して分化後 TNNT2 発現により示される中胚葉に、((B)PSC Definitive Endoderm Induction Kit を使用して分化後 CXCR4+/PDGFRalpha– フェノタイプにより示される内胚葉に、(C)PSC Neural Induction Mediumを使用して分化後 Sox1 およびネスチンの発現により示される外胚葉に文化する能力を維持しました。
これまで多能性幹細胞培養は、多能性を維持するために毎日培地を交換する必要がありました。このように頻繁に細胞を操作することは、エラーやコンタミネーションの可能性の増加や、複数のユーザーが 1 つの培養を取り扱うことで増加するバラツキやコンタミネーションなど、研究者にとってさらなる課題となっています。上記のアプリケーションのように、従来の培養システムに付随するこれらの課題の一部を軽減するための推奨プロトコルが開発されてきました。ただし、これらの推奨プロトコルは、ダウンストリームの多能性に影響する可能性があるため、継続的な長期の使用にはあまり適していません。StemFlex 培地(Gibco Essential 8 Flex 培地も同様)は、多能性のキーファクターである FGF2 活性を安定して維持することで、週末の培地交換を必要としない培養スケジュールを組むことができます(図 6 ~ 8)。
図 6.StemFlex 培地は多能性をより継続的に維持。StemFlex 培地は、37 °C、5% CO2 の条件下でインキュベートした場合、FGF2 活性が安定して持続しています。このため、週末に培地交換不要なフレキシブルなスケジュールが可能になり、培地交換を毎日行う必要性がなくなります。
図 7.週末の培地交換不要で多能性を長期的に維持。PSC は、GelTrex matrix でコートしたウェル上でStemFlex 培地 で 21 継代した後、自己複製因子の発現を維持しています。細胞は、Invitrogen PSC 4-Marker Immunocytochemistry Kit を用いて多能性マーカーを染色しました。
図 8.週末に培地交換を行わない場合の推奨スケジュール。従来の PSC 培地とは異なり、StemFlex 培地は毎日の培養管理を行う必要がなく、週末の培地交換が不要な PSC の増殖および維持を行うことができます。
PSC 培養システムで使用される補完的な試薬(マトリックスや継代用試薬など)が性能に影響をおよぼすことは、珍しいことではありません。一般的に従来の PSC 培地では、1 種類のマトリックスおよび 1 種類の継代方法のみに適合するため、重要なプロトコルの調整が必要とされ、そうしなければ望ましい結果が得られない可能性があります。StemFlex 培地は、用途の応じたマトリックスおよび継代用培地が選択可能であることに加え、培地交換スケジュールも選択できるという、三つの点において使用法に高いフレキシビリティを提供します。
構成品 | 製品 | 最適な用途 |
---|---|---|
マトリックス | Geltrex LDEV-Free Reduced Growth Factor Basement Membrane Matrix | Matrigel マトリックスからの差換え PSC の増殖と維持に最適な経済的な選択 |
Vitronectin Recombinant Human Protein, Truncated(VTN-N) | より効率的で成分が明らかなマトリックスを要するアプリケーション | |
Recombinant Human Laminin-521(rhLaminin-521) | ゲノム編集およびシングルセル継代など、ストレスの多いアプリケーションで最良の性能を発揮するために推奨 | |
継代用試薬 | Versene Solution | 集塊細胞の継代 |
StemPro Accutase Cell Dissociation Reagent | 2 ~ 3 細胞塊 | |
TrypLE Select Enzyme(単独使用または RevitaCell Supplement との併用) | シングルセル継代 |
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.